前回に引き続き、財務に関する内容をお届けします。
年度末を迎えられる方、迎えられた方が多いのではないでしょうか?
年度末のこの時期、経営者であれば、
1年間の業績がとても気になるところですよね。
そんな経営者の皆さんに、
今回は損益計算書の見方や無料で使える経営分析システムをご紹介します。
損益計算書のどの部分を見れば、
自社の業績を判断できるのか。
まずは決算書上、特に損益計算書のチェックポイントを2点お届けします。
目次
過去との比較【損益計算書のチェックポイント①】
売上や経常利益の増減を比較
売上に占める割合
同業他社との比較【損益計算書のチェックポイント②】
中小企業実態基本調査をみてみよう
経営自己診断システムで同業他社と比較
過去との比較【損益計算書のチェックポイント①】
売上や経常利益の増減を比較
1つ目は過去との比較です。
前年の損益計算書と今期の損益計算書を見比べて、
売上や経常利益の増減を確認してください。
もちろん売上・利益共に増えている状況が一番良いです。
しかし、売上は増加、利益が減少している場合は、
原価や経費が増えた要因を分析する必要があります。
材料代が高騰しているが為に原価が増加している。
燃料費が高騰した為、原価や経費が増加し、
予期せぬ経費が発生したことで、原価経費が増加していた。
以上のように分析をかけ、原価経費が多かった原因を考えてみましょう。
また、売上も利益も下がるケースもあると思います。
このような場合は売上が減少した原因を分析する必要があります。
売上が減少した場合には、経費削減が出来なかったのかを
しっかり分析すると良いでしょう。
まず、直近の損益計算書が出来上がった段階で、前期と比較し、
売上・利益の増減を確認することをオススメします。
売上に占める割合
次に売上に占める割合に注目しましょう。
- 売上高に対して、売上総利益が何%だったのか?
- 売上に対して、販売管理費の比率が何%だったのか?
- 売上に対して、営業利益とか経常利益の比率が何%だったのか?
を見ていただくと良いと思います。
例えば飲食業の会社であれば、
FLコスト(売上に占める食材費(Food)と人件費(Labor)の比率)とも呼ばれる指標があります。
売上に対して
- 材料費・原材料費が約30%、
- 人件費として約30%程度
が適正値と言われています。
このような比率が、
- 各業界の比率と比較してどうなのか?
- 経営者が設定している目標に対してどうだったのか?
を見て頂き、損益計算書の分析をすると良いでしょう。
もちろん、過去との比較も大切です。
過去の売上に対する経常利益率、過去の売上に対する販管比率と
今期実績を比較して見ても良いと思います。
振り返りになりますが、過去との比較から今期実績がどんな結果になったのかを確認しましょう。
同業他社との比較【損益計算書のチェックポイント②】
同業他社との比較を通して、自分の会社のポジションを見ることが大切です。
中小企業実態基本調査をみてみよう
ポジションの比較には、
中小企業庁がまとめている「中小企業実態基本調査」が活用できます。
参考リンク:中小企業庁 中小企業実態基本調査
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.htm
こちらをご覧いただくと、業種ごと、従業員数ごとのデータがまとめられています。
- 同じ年商規模の会社と比較してみる
- 同じ従業員数の会社と比較した時、自分の会社のポジションはどこにあるのか?
などにご活用いただくと良いでしょう。
経営自己診断システムで同業他社と比較
加えて、経営自己診断システムも活用してみましょう。
参考:経営自己診断システム
この経営自己診断システムを使うことによって、
中小企業庁の中小企業信用リスク情報データベースに蓄積されている
約2万社の中小企業のデータを元にして
自社の経営状況を分析することができます。
登録無料で使用でき、
決算書の売上や経常利益、貸借対照表の資産や
純資産の金額など自社のデータを入力すると結果がすぐに出力されます。
自社の安全性と収益性の点数が出てくるため、
自社のポジションが良いのか、悪いのかを判断できるため大変便利です。
私も試しに使ってみたことがありますが、
簡単に自社のポジションを確認することができたので
是非皆様にもおすすめです。
今回は
損益計算書のチェックポイントをテーマに
過去との比較した今期の業績確認と
中小企業庁のデータを使用した他社比較をご紹介しました。
年度末に今期の成績を確認し、
良かった部分は来年度にも活かしながら、
課題は1つずつ潰すことで会社の経営体質を強くしていけるでしょう。
手軽に使える財務の分析システムを活用しながら、
是非皆様も業績チェックに取り組んでみてください。