経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説することを得意としております。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、会社の現金預金適正額について解説します。
皆さまの会社では現金預金をどのくらいお持ちですか。
業種や社会情勢に応じて、安心できる額や割合は異なります。
ぜひ、お手元に貸借対照表を準備いただき、一緒に計算して比べていただければと思います。
目次
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
現金預金の適正額とは
本日は、「企業が保有すべき現金預金の適正額」について解説いたします。
一般的に、企業の現金預金は 月商(1カ月の売上高)の3カ月分を確保することが望ましい と言われています。
この目安は、多くの経営者の方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ただし、新型コロナウイルスの影響を受けた期間中は、3カ月分では十分ではないとされ、6カ月分の現金預金を確保することが理想的 との見方もありました。
この指標はあくまで目安ではありますが、企業の安定経営にとって重要な考え方の一つです。
しかし、業種によってはこの基準が必ずしも適切とは限りません。
季節変動が大きい業種 では、標準的な指標をそのまま当てはめるのは適切ではない場合があります。
たとえば、
観光業やアパレル業界 など、繁忙期と閑散期の売上が大きく異なる業種
建設業など、売上計上から入金までのサイクルが長い業種
このような企業では、標準的な「月商の3カ月分」という指標に従うだけでは、資金繰りの不安が生じる可能性があります。
特に、売上の入金よりも支払いのタイミングが早い 企業は、より慎重な資金計画が必要になります。
理想的な現金預金の割合
では、企業が保有すべき現金預金の具体的な目安についてみていきます。
まず、貸借対照表をご確認ください。
貸借対照表には「総資産」の合計金額が記載されています。
この金額は、貸借対照表の「負債・純資産の部」の合計額と一致します。
現金預金の適正額として、総資産の約30%を確保することが望ましい とされています。
例えば、総資産が1億円の企業であれば、3000万円の現金預金を保有することが理想的です。
現金預金を総資産の30%とする理由は、貸借対照表の理想的なバランスにあります。
具体的には、総資産を以下のように3分割する形が望ましいとされています。
●現金預金:約30%
●自己資本(貸借対照表の純資産の部):約30%
●借入金(短期・長期の合計):約30%
この割合を維持することで、突発的な支出が発生した際や投資のチャンスに、柔軟に対応できるようになります。
その他にもこのようなメリットがあります。
●債権回収リスクへの備え
最近では、倒産や休眠会社の増加により、売掛金の回収が困難になるケースが増えています。
適切な現金預金を確保しておくことで、万が一の未回収リスクにも備えられます。
●自然災害への対応
地震や台風などの自然災害によって、突発的な支出が発生する可能性もあります。
その際、十分な現金預金があれば、迅速に復旧資金を確保できます。
さらに、この「現金預金を総資産の30%」確保することで、金融機関からの評価も向上します。
財務の安定性が高い企業として認識され、新たな借入時にも金融機関からの信頼を得やすくなる というメリットもあります。
したがって、まずは貸借対照表を確認し、自社の現金預金が総資産の30%に達しているかどうかをチェックすることが重要です。
現状の財務バランスを把握し、必要に応じて調整を行うことで、より安定した経営基盤を築くことができるでしょう。
今回は、企業が保有すべき現金預金の適正額についてお話ししました。
総資産の約30%を目安に現金預金を確保することが重要です。
ぜひ、改めて貸借対照表を確認し、自社の財務状況を見直してみてください。
貸借対照表や損益計算書を定期的にチェックする習慣をつけることで、数字に強くなり、財務への理解が深まります。
ぜひ継続的に学び、財務力のある経営を目指していただければと思います。
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貸借対照表や損益計算書、さらにはキャッシュフロー計算書など、財務の基本を押さえることで、より強い経営基盤を築くことができます。
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