経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説することを得意としております。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、キャッシュインターバルについて説明します。
企業経営において、どのくらいの現金預金があれば安心できるのか不安に思う方も多いのではないでしょうか。
このキャッシュインターバルという経営指標を使い、皆さまの会社の現金預金の額が安心なのか、はたまた対策が必要なのかを知ることができます。
本ブログでは、計算方法、理想の数値、改善方法を解説していきます。
皆さまの経営にお役立ていただければ幸いです。
目次
キャッシュインターバルとは
数値の改善方法
理想の数値・危険な数値
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
キャッシュインターバルとは
キャッシュインターバルとは、現在手元にある現金預金で、何日分の固定費をまかなうことができるかを示す指標です。
資金繰りの安定性を測るうえで非常に重要な指標の一つといえます。
計算式は以下の通りです。
キャッシュインターバル = 現金預金 ÷ 1日あたりの固定費
「1日あたりの固定費」は、年間の固定費を365日で割ることで算出できます。
つまり、会社の現金預金が日々の固定費に対してどの程度の期間持ちこたえられるかを把握することができるのです。
なお、決算書上に「固定費」という項目名がそのまま記載されているケースはほとんどありません。
多くの場合、「製造経費」や「販売費及び一般管理費」といった区分で記載されています。
そのため、まずはこれらの項目の中から変動費と固定費を区分する必要があります。
固定費部分を抽出したうえで、改めて以下の式でキャッシュインターバルを計算してみてください。
現金預金 ÷(固定費 ÷ 365日)
決算書の内容に不明点がある場合は、担当の税理士に相談しながら進めると良いでしょう。
まずは固定費を明確にし、自社のキャッシュインターバルを把握することが、資金繰り改善の第一歩となります。
数値の改善方法
キャッシュインターバルを増やす、つまり「現金預金で何日分の固定費をまかなえるか」という日数を伸ばすためには、どのような取り組みが必要でしょうか。
計算式を見ていただければ分かる通り、改善の方向性は大きく2つあります。
1つ目は、現金預金を増やすことです。
たとえば、売上を伸ばして利益を確保し、現金預金を積み増していく方法があります。
また、金融機関からの借入によって一時的にキャッシュを増やす方法も有効です。
いずれの手段を取るにしても、「手元資金を増やす」ことを意識することが重要です。
2つ目は、固定費を削減することです。
現在発生している経費の中に、削減できる項目や、効果が薄い支出がないかを見直してみましょう。
不要なコストを減らすことで、固定費が下がり、結果的にキャッシュインターバルは自然と長くなります。
つまり、「現金預金を増やす」又は「固定費を減らす」、この2つのアプローチが、キャッシュインターバル改善の基本となります。
ぜひこの機会に、自社の資金繰りや経費構造を見直し、キャッシュインターバルを把握・改善する取り組みを進めてみてください。
理想の数値・危険な数値
キャッシュインターバルの理想的な水準は「90日以上」とされています。
つまり、固定費の90日分以上を現金預金でまかなうことができる状態であれば、資金繰りの安定性という点で非常に理想的です。
一方で、現実的には十分な現金預金を確保できず、90日未満となっている企業も少なくありません。
この場合、信号の色にたとえると、90日未満は「黄色信号」、そして30日未満になると「赤信号」といったイメージを持っていただくと分かりやすいでしょう。
もし、自社のキャッシュインターバルが30日未満となっている場合は、早急に対策を講じる必要があります。
固定費の削減や現金預金の積み増しといった具体策を検討し、速やかに実行に移すことが重要です。
今回は、資金繰りの健全性を測る指標である「キャッシュインターバル」についてご紹介しました。
経営において損益計算書の分析も重要ですが、重視すべきはキャッシュ、すなわち現金の動きです。
キャッシュがなければ企業は継続できません。
したがって、日々の経営判断を行う際には、キャッシュの確保を最優先に考えることが不可欠です。
今回ご紹介したキャッシュインターバルの指標を活用し、キャッシュフローをベースとした経営に取り組んでいただければと思います。
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

