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いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、M&Aを検討する経営者は知っておきたい「PMI」の概要について解説します。
先日「事業承継M&A補助金」が登場したように、今後「M&A」に関する話題に注目が集まる事が予想されます。
事業統合をし、その後の会社の成長発展を目指す上でも欠かせない概念として、知っておいて損はない内容になっています。
目次
PMIの概要
PMIに関するアンケート結果
M&AとPMIのプロセス
PMIのポイント
中小企業のM&AとPMI
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
PMIの概要
PMIはPost Merger Integrationの略語であり、M&Aが成立した後に実施される統合作業のことを指します。
M&Aの目的を達成し、統合による効果を最大化するために必要なプロセスです。
M&Aにおいて、買収側と売却側が合意に至っただけでは成功といえません。
統合後に相乗効果(シナジー)を生み出せなければ、せっかくのM&Aも期待した成果を上げることができず、経営がうまくいかない事例も少なくありません。
したがって、統合が完了した時点がゴールではなく、新たなスタートラインと考えることが重要です。
その後、シナジーを創出し、企業の成長・発展につなげていくためには、PMIのプロセスをしっかりと計画・実行する必要があります。
PMIでは、譲り受けた会社や事業の統合を適切に進めることが求められます。
計画的に統合を進め、具体的なアクションを実施することで、M&Aの真の成功へとつなげることができるのです。
PMIに関するアンケート結果
中小企業白書では、M&Aに関する企業の懸念点や重視するポイントについてのアンケート結果が公表されています。
特に、買収側の企業経営者が最も懸念するのは「相手先の従業員の理解が得られるかどうか」という点です。
さらに、「期待する効果が得られるかどうか」も重要な懸念事項として挙げられています。
また、M&Aを実施した企業の中には、期待を下回る結果となったケースもあります。
その主な理由として、
- 相乗効果(シナジー)が生まれなかったこと(1位)
- 相手先の経営組織体制が脆弱であったこと
- 相手先の従業員に不満があったこと
といった点が挙げられています。

では、PMIの検討は、いつから始めるべきなのでしょうか。
アンケート結果によると、M&Aのプロセスを検討している段階からPMIについて考えている企業は、期待を上回る成果を得ている傾向があります。
一方で、M&Aが成立した後にPMIを検討し始めた、あるいはPMIをまったく検討しなかった企業のうち、67%が期待を下回る結果となったというデータもあります。
したがって、M&Aを検討している初期段階からPMIの計画を立てることが、統合後にシナジーを生み出し、企業の成長・発展につなげるために不可欠といえるでしょう。
M&AとPMIのプロセス
では、実際にどのように進めていくべきなのでしょうか。
1、プレPMI
M&Aが成立する前からプレPMIとして、統合後を見据えた準備を進めることが重要です。
具体的には、PMIにおける取り組みを意識し、必要な情報を取得するとともに、統合後の計画を立案します。
M&A成立後にどのように経営統合を進め、事業を成長させていくのかを事前に検討しておくことで、スムーズな統合が可能になります。
2、PMI(集中実施期)
M&A成立後、概ね1年間を要するPMI集中実施期では、次のような取り組みが求められます。
- 役割分担を明確にし、適切な人材を配置する
- 現状把握を徹底し、取り組み方針を検討する
- 計画を実行し、その効果を検証する
この過程ではPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)を確実に回しながら、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
すべての業務を同じスピードで進めることは難しいため、どこから手をつけるべきかを明確にし、計画的に実行していく必要があります。
3、ポストPMI
その後はポストPMIのフェーズに移り、取り組み方針の見直しを行いながら、継続的にPDCAを実行していきます。
必要に応じて組織体制を整えたり、変更したりすることも重要なポイントとなります。

PMIのポイント
M&Aによる経営統合では、売り手と買い手の企業が一つの組織となるため、統合の方向性を明確に示すことが不可欠です。
特に、売り手企業の従業員にとっては「会社はこれからどうなるのか」といった不安が生じるため、経営陣がしっかりとビジョンを示す必要があります。
また、信頼関係の構築も重要です。
売り手企業の従業員だけでなく、取引先に対しても、買い手企業が今後どのように事業を進めていくのかを丁寧に伝え、関係を強化していく必要があります。
経営方針を示した後は、その方針を組織内外に浸透させることで、「統合後も安心して取引を続けられる」というメッセージを発信することが大切です。
さらに、業務統合のプロセスでは、組織体制を整え、円滑に事業を引き継げるような仕組みを構築する必要があります。
M&A後は環境の変化が避けられませんが、柔軟に対応しながら業務を進めることで、スムーズな統合作業を実現できます。
このような流れでPMIを進めることが、M&A成功の鍵となります。

中小企業のM&AとPMI
今まで公募されていた「事業承継引継ぎ補助金」が「事業承継M&A補助金」として新たな名称で展開される予定です。
その中では、PMIを重視した枠組みや補助金の上乗せ措置が導入される見込みです。
M&Aを検討されている経営者の方は、単に「売り手と買い手のマッチング」だけに注目するのではなく、その先の統合プロセスまで見据えることが重要です。
M&Aの成立をゴールとするのではなく、その後の事業成長を見据えた経営統合のプロセスをどのように進めるかを検討することで、より大きな成功へとつなげることができます。
PMIの重要性を理解し、M&A成立前から統合後の計画を意識した取り組みを進めることが、成功の鍵となります。
M&Aの成立はゴールではなく、新たなスタートです。
統合後の相乗効果(シナジー)を最大化するためには、計画的なPMIが欠かせません。
今回は、中小企業におけるM&A後の統合プロセスや、その成功のポイントについて解説させていただきました。
株式会社ティー・エー・リンクでは、弊社では、財務を中心とした経営支援を提供しております。
M&Aを検討されている経営者の皆様にとって、弊社の支援が大いに役立つものと考えております。
特に、M&A成立後の経営統合をどのように進めるかについてお悩みの方はご相談ください。
弊社がサポートさせていただくことで、統合後の経営をよりスムーズに進めるお手伝いができればと考えております。
M&Aを検討されている経営者や財務でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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【出典】
中小企業庁HP「中小M&Aを成功に導くために。」
中小企業庁HP「中小PMIガイドライン 概要版」
