経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説することを得意としております。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、【商品投下資本粗利益率「GMROI」】の計算方法や改善方法についてご紹介します。
在庫を持つビジネスをされている事業者の方に必見の内容です。
自社の経営状態を分析し、より良い経営を目指していきましょう。
目次
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
GMROIとは
GMROIとは「Gross Margin Return On Inventory」の略で、商品に投下された原価が、どれだけの粗利益を生み出しているのかを示す指標です。
簡単に言えば、その商品が生み出す粗利によって、どの程度の稼ぎが得られているかを表しています。
また、在庫として抱えている商品に対して、どのくらい効率よく利益を生み出しているのかを把握することができます。
GMROIの計算方法
GMROIは、以下の計算式で求められます。
粗利益額 ÷ 平均商品在庫額(=[期首在庫+期末在庫]÷ 2)
平均商品在庫額とは、(期首在庫+期末在庫)÷ 2を計算した数値を指します。
つまりGMROIは、在庫の回転状況と粗利益の関係性を数値として可視化できる指標です。
その商品がどれだけ効率的に利益を生んでいるのかを測る際に有効です。
なお、これに類似した経営指標として「在庫回転率(商品回転率)」があります。
在庫回転率は、仕入から販売されるまでの期間、あるいは商品が一定期間に何回転したかを測るもので、「売れ行き」を中心に判断する指標です。
売上や販売スピードに着目する点が特徴です。
一方、GMROIは、在庫の量に対してどれだけの粗利益が得られているかという「利益効率」に焦点を当てています。
したがって、在庫回転率とGMROIは、セットで確認することで、より実態に即した在庫管理・商品戦略の見直しに役立ちます。
商品がどのくらい売れているのか(在庫回転率)と、その売れた商品がどのくらいの利益を生んでいるのか(GMROI)を併せて確認することで、販売効率の良し悪しを多角的に評価できるようになります。
GMROIをより良くする方法
続いて、GMROIの改善方法をご紹介します。
前章でもお伝えしたとおり、GMROIの計算式は以下の通りです。
粗利益額 ÷ 平均商品在庫額
したがって、GMROIを改善するには「粗利益額を増やす」または「平均商品在庫額を減らす」ことが基本となります。
まず粗利益額の増加についてです。
これは「売上を上げる」か「粗利率を上げる」ことで実現できます。
粗利率を高める方法は、「販売単価を上げる」または「仕入単価を下げる」のどちらかです。
次に、平均在庫額を減らすための方法です。
単に在庫を削減するのではなく、「在庫の適正化」を目指すことが重要です。
たとえば、売れる在庫の比率を高めることで、在庫の回転期間を短縮し、結果として在庫全体を減らすることにつながります。
逆に、売れ筋でない在庫や季節商品など、滞留しやすい在庫の比率を下げることも有効です。
これらは早めに在庫を減らすことで、在庫水準の適正化とGMROIの改善につながります。
さらに、不良在庫の比率を下げることも有効です。
もし、今後も売れる見込みが薄い在庫を多く抱えているようであれば、それらを見直し、在庫を減らすことでGMROIの改善に直結します。
現代の経営では、単に売上だけを追いかける時代ではなくなっています。
「どれだけ粗利を稼げるか」という視点が、企業経営においてますます重要になってきています。
そのためにも、売上に関わる指標だけでなく、粗利に関する経営指標にも注目し、バランスよく確認していくことが求められます。
今回ご紹介したGMROIは、在庫に関する指標です。
特に小売業など在庫を扱うビジネスにおいては、在庫回転率とセットで確認することをおすすめします。
ぜひ、このブログをご覧いただいた皆様も、自社の決算書を確認のうえ、GMROIを実際に計算してみてください。
現状を数値で把握することで、次の打ち手が明確になるはずです。
今回は、経営指標の一つである「GMROI(商品投下資本粗利益率)」についてご紹介しました。
GMROIは、粗利益と在庫という二つの視点から経営の効率性を把握するための重要な指標です。
繰り返しになりますが、GMROIは売上を基にした在庫回転率や在庫回転期間などの指標と合わせて確認することで、より実践的な経営判断に活用できます。
ぜひ、自社の決算書を取り出し、実際の数値を確認してみてください。
単年度だけでなく、過去2~3年分の推移を確認することで、経営の変化や課題がより明確になるはずです。
「計算の方法が分からない」「分析の仕方に不安がある」といった場合には、ぜひ弊社ティー・エー・リンクまでご相談ください。
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