経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説することを得意としております。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、不良債権比率について説明します。
会社の売上の中で、代金を回収できなかったものの有無やあるのならばどれほどの金額なのかなど、これらをしっかりと現状把握し、原因の分析や対策に繋げていくことで、売上債権を回収できる良い経営体質につなげていきましょう。
目次
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
不良債権比率とは
皆さまは「不良債権」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。
不良債権とは、売上代金の回収ができなかった金額のことを指します。
通常であれば、売上に対してはきちんと代金の回収が行われますが、取引先の倒産などの事情により、回収が困難となった売掛金を不良債権と呼びます。
この「不良債権比率」とは、受取手形や売掛金といった売上債権に対し、どの程度の未回収が発生しているのか、つまり売上代金を回収する力を示す指標です。
不良債権はないに越したことはなく、理想的には不良債権比率が0であることが望ましいといえます。
近年では、「○○社が倒産した」というニュースを耳にする機会も増えています。
経済環境の変化により、すべての売上代金を確実に回収できるとは限らない状況です。
自社に不良債権が発生していないか、また発生している場合はその規模を把握し、現状を確認しておくことが重要です。
不良債権比率の計算方法
不良債権比率は、次の計算式で求めることができます。
不良債権比率 = 貸倒引当金 ÷ 売上債権
ここでいう「貸倒引当金」とは、売上債権(売掛金や受取手形など)のうち、回収不能となるおそれがある金額を見積もったものです。
たとえば、得意先A社に対して100万円を売り上げたものの、まだ代金を回収できていない場合を考えてみましょう。
もしこの100万円のうち、回収できる見込みが半分程度と判断される場合には、100万円 × 50% = 50万円が貸倒引当金として計上されます。
貸倒引当金の設定割合については、どのような債権区分にどの程度の割合を適用するか、一定の基準が定められています。
具体的な割合や判断基準については、皆様の担当の税理士に確認されるとよいでしょう。
要するに、貸倒引当金は「売上債権のうち、どの程度が回収できない見込みか」を示す指標です。
この比率が低ければ低いほど、回収能力が高く、財務状況が健全であるといえます。
逆に、不良債権比率が高い場合は、それだけ債権回収力が弱まっている可能性があるため、早急な改善が求められます。
貸倒れになる理由
そもそも、なぜ貸倒れが発生してしまうのでしょうか。
また、なぜ貸倒れとなるリスクが存在するのか、その原因を明確にすることが重要です。
まず考えられるのは、売掛金の回収期間(回収サイト)が長い場合です。
一般的に、取引先との決済は「月末締め・翌月末払い」など、おおむね30日程度の期間で設定されます。
しかし、昔ながらの取引慣習などで「2か月後」や「3か月後」に回収するケースが続いていると、どうしても回収不能となるリスクが高まります。
回収までの期間が長引くほど、債権の回収可能性は低下しやすくなるため、取引条件の見直しが必要です。
次に挙げられるのが、取引先に対する信用調査の不足です。
新規取引を開始する際に、相手先の財務状況や支払実績などを十分に調査していないと、支払い能力に問題がある企業と取引をしてしまう可能性があります。
その結果、売掛金が不良債権化し、最終的に貸倒れに至るケースも少なくありません。
このように、貸倒れの発生にはさまざまな要因が関係しています。
したがって、「なぜ貸倒れが起きたのか」「なぜ不良債権が生じたのか」を定期的に分析することが大切です。
日常的に行う必要はありませんが、少なくとも年に1回、決算のタイミングで確認することをお勧めします。
貸借対照表に記載されている売掛金の中身を精査し、
・すべて正常な債権かどうか
・不良債権が含まれていないか
・もし存在する場合はいくらなのか
といった点を確認しておきましょう。
せっかく計上した売上を確実に回収できるよう、こうした見直しを定期的に行うことが重要です。
もし、まだ社内で十分な調査を実施していない場合は、この機会に売掛金の実態把握や社内調査を始めてみてください。
財務の健全性を保つ第一歩となるはずです。
今回は「不良債権比率」について解説いたしました。
繰り返しになりますが、自社の財務状況を定期的に確認することは非常に重要です。
損益計算書を日常的にチェックしている経営者の方は多い一方で、貸借対照表については「難しそう」「見てもよく分からない」と感じて敬遠される方も少なくありません。
この機会に、まずは売掛金の内容を確認することから始めてみてください。
不良債権が存在するのか、ある場合はいくらなのか、そしてどのように処理していくのかなど、社内での調査に加え、担当税理士にも確認を取りながら、不良債権比率を算出してみることをお勧めします。
数字として「自社の現状」を把握することが、今後の財務改善の第一歩となります。
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