経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回解説させていただくのは「事業承継・引継ぎ補助金」についてです。
特に「経営革新事業」と「専門家活用事業」の2つの項目における変更点について
ポイントを押さえて解説いたします。
事業承継・引継ぎ補助金の活用を検討中の中小企業の経営者の皆さまには、
ぜひ記事を参考いただき、最新情報を把握していただければと思います。
こちらの記事は2023年7月9日時点の公開情報を元にしております。
最新の公式情報はこちらよりご確認ください。
https://jsh.go.jp/
目次
事業承継・引継ぎ補助金とは?
経営革新事業の変更点を確認しよう!
変更点① 補助率・補助上限金額の変更
変更点② 「未来の承継」要件
変更点③ 事業譲渡の条件
専門家活用事業の変更点
変更点① 事業承継専門家活用を活用する場合の補助率
変更点② 補助対象者とM&A支援者の非一致
変更点③ 事業譲渡の要件
変更点④ 法人・個人の補助金申請対象範囲
変更点⑤ 加点要件
補助金の申請はティー・エー・リンクに相談してみよう
事業承継・引継ぎ補助金とは?
事業承継・引き継ぎ補助金の目的は公募要領内に次のように書かれています。
「事業再編事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う中小企業小規模事業者に対して、その取り組みに要する経費の一部を補助するとともに、事業を再建事業統合に伴う経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、事業承継事業再編事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的とする補助金」
(参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,6p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf)
この補助金は、事業承継やM&Aを起点に事業を再構築したり、設備投資や販路開拓などの経営革新に向けた費用を支援する目的で設けられています。
また、ファンド関連の専門家を活用する費用や、再チャレンジを目的として既存事業を廃業するための費用も、この補助金で申請可能です。
(「事業承継・引継ぎ補助金」6次公募開始:中小企業庁
https://j-net21.smrj.go.jp/news/hgc8pd000000ng97.html)
皆様、次回の「事業承継・引継ぎ補助金」の申請締め切りは8月10日(木)と迫っています(2023年7月16日時点)。
申請を検討されている皆様に対しては、残り1ヵ月という短期間ですが、
早めに事業計画書を完成させ、申請の準備を進めていただくことをおすすめします。
この補助金を活用し、事業の再構築や経営革新に向けた新たな一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
経営革新事業の変更点を確認しよう!【2023 事業承継・引継ぎ補助金】
経営革新事業では、事業承継やM&Aを契機とした事業再構築 、設備投資、
販路開拓などの経営革新に挑戦する費用を補助する枠組みです。
まずは経営革新事業の第4次公募からの変更点を確認していきましょう。
【経営革新事業 変更点①】 補助率・補助上限金額の変更【事業継承・引継ぎ補助金】
まず、補助率と補助上限金額が変更されました。
補助率は以前の3分の2から2分の1へと下がっています。
ただし、特定の条件においては、補助率が3分の2になります。
特定の条件とは下記の事業者を指します。
・小規模事業者や営業利益率が下がった会社
・赤字の会社、あるいは再生事業者の場合
営業利益率が下がった会社の定義はこちらとなります。
「物価高の影響等により、営業利益率が低下している者
具体的には、直近の事業年度(申告済み)及び交付申請時点で進行中の事業年度において、
(1)直近の事業年度(申告済み)と 2 期前の事業年度(通年)
(2)直近の事業年度(申告済み)及び交付申請時点で進行中の事業年度のうち、それぞれ任意の連続する 3 か月(当該期間の前年度同時期)の平均」
(参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,9p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf)
また、赤字企業の条件は「直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者」となります。
(事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,9pより)
一方で補助上限金額は上がっています。
具体的には、以前の400万円~600万円から600万円~800万円に引き上げられました。
上限金額が800万円になる条件は、「一定の賃上げを行う」こととなっています。
一定の賃上げとは次の通りを指します。
「800万円の要件として以下①②のいずれかを達成すること
① 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の賃上げ
② ①を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に事業場内最低賃金+30円以上の賃上げ」
(参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,23p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf)
また、「補助額の内600万円を超え800万円以下の部分の補助率は1/2以内となる」ため、応募の際にはご注意ください。
【経営革新事業 変更点②】 「未来の承継」要件【事業継承・引継ぎ補助金】
「未来の承継」という新たな要件が導入されました。
前回の公募と比較してみてみると、この変化が特に注目されています。
では、「未来の承継」は具体的にどのような内容を指すのでしょうか。
以下、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトで公開されている情報となります。
「①同一法人内の代表者交代による事業承継であること。
②交付申請時点で、将来経営者となることが十分見込まれる後継者(以下、「後継者候補」)が選定できていること。
③後継者候補が、交付申請時点でに対象の会社に在籍していること
④別途提出を求める事業承継計画から、補助事業期間が終了する事業年度から5年後の事業年度末までに
事業承継を完了する予定であり、その蓋然性が高いことが確認できること。 」
(参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,15p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf)
事業承継の条件をまとめてみると、企業には大きく3つのポイントが求められています。
まず、将来経営者となることが見込まれる経営者が選定できており、事業継続の視野が確保されている状況が必須となります。
次に、承継予定者である後継者候補がすでに会社の中に在籍していることが求められており、事業のスムーズな引き継ぎが期待されています。
最後に、具体的な時間枠内での事業承継の実現可能性も確認事項としておさえられています。
これらの要件は、事業承継計画の中に明示的に盛り込まれていなければならない点であるため、ご注意ください。
また、補助対象事業の要件も合わせて提示されています。
「交付申請時の補助事業計画から、以下のいずれも満たすことを確認できること
・後継者候補が主導して取り組む事業であること
・承継予定の中小企業等における事業であること (事業計画期間(5 年)において当法人の存続を前提とすること)
・承継予定である中小企業の経営資源を有効活用した事業であること 」
(参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,15p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf)
要件を遵守することで、経営承継を円滑に進めるための補助金利用が可能となります。
【経営革新事業 変更点③】 事業譲渡の条件【事業継承・引継ぎ補助金】
新たな要件も事業承継・引継ぎ補助金に加えられています。
それは「譲受対象資産を明確に活用した経営革新等に係る取組」が補助対象事業の要件となるというものです。
特に、事業譲渡のケースにこの新たな要件が適用されます。
前回の公募ではこの要素は含まれていなかったため、変更点として注意が必要です。
経営革新事業においては、補助率の引き下げや補助上限金額が上がるなど、様々な変更点があります。
細かいポイントや自社の補助対象内・外の判定は、要件が細かいために判断が難しいところもあるでしょう。
事業承継・引継ぎ補助金を申請しようと検討されている皆様は
改めて自社が対象になるかを顧問会計事務所や認定支援機関の顧問会計事務所に
ご相談頂くと良いでしょう。
弊社にご相談頂ければ要件に当てはまるかどうかの確認もできますので、
気兼ねなくご相談ください。
次に、専門家活用について、前回の公募内容からどう変わったのかを見ていきましょう。
【2023 事業承継・引継ぎ補助金】専門家活用事業の変更点
専門家活用事業とはM&Aに関連した専門家などの活用費用を補助する枠組みとなります。
【専門家活用事業 変更点①】 事業承継専門家活用を活用する場合の補助率・補助金下限額【事業継承・引継ぎ補助金】
専門家活用を活用する場合の補助率に、今回変更が加わっています。
売り手支援型の場合は2分の1、買い手支援型の場合は3分の2と
補助率の原則が変わりました。
売り手支援型の補助率が下がったとも言えるでしょう。
ただし、営業利益率が低下している会社や赤字の場合の会社は
補助率が3分の2となっていますので、
自社の要件をご確認ください。
営業利益率低下については、経営革新事業でもご説明いたしましたが、
再度下記図にて解説いたします。
赤字の場合は、営業利益か経常利益で判断され、
営業利益率低下の場合と同じく補助率が3分の2になります。
補助率だけでなく、補助下限額についても変更が加わっています。
これまでは100万円でしたが、50万円に補助下限額が引き下げされています。
そのため金額が小さい取り組みに対しても事業承継・引き続き補助金が使えるようになりました。
これまで事業に取り組む際の金額が小規模だったために応募ができなかった方にとっては、
事業継承・引継ぎ補助金に応募しやすくなったと言えるでしょう。
【専門家活用事業 変更点②】 補助対象者とM&A支援者の非一致【事業継承・引継ぎ補助金】
今回の公募要領の中で加わったこととして、
M&A支援機関登録制度に登録されたFAの方、
そしてM&A仲介業者またはその代表者が補助対象者またはその代表者と同一でないということが条件として加わりました。
一般の事業者であれば関係ないと思いますが、
M&A支援機関として登録されている事業者はご注意ください。
【専門家活用事業 変更点③】 事業譲渡の要件【事業継承・引継ぎ補助金】
事業譲渡に関連する要件にも、一部変更が行われています。
設備やスタッフ、顧客などの有機的な一体としての経営資源の受け渡しが確認できない場合、経営資源引き継ぎの要件を満たしていない可能性が出てきます。
公募要領には事業譲渡についての文言も追加されています。
具体的には、物品や設備などの有形資産のみの場合や、ブランドやノウハウ等の無形資産のみの譲渡の場合、対象外とされます。
ご自身の譲渡事業が必要な要件を満たしているか確認しましょう。
(参考資料:
経営革新事業(5次公募以降)における 制度上の変更点・注意点について Ver.2.2 事業承継・引継ぎ補助金事務局 2023年6月16日
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/modification_business.pdf)
【専門家活用事業 変更点④】 法人・個人の補助金申請対象範囲【事業継承・引継ぎ補助金】
補助金の申請を検討される法人と個人事業主の皆様へ向けて、それぞれ対象となる条件が明記されました。
まず、法人におかれましては、交付申請時点での決算・申告が3期分完了していない場合、事業承継引継ぎ補助金の利用ができません。
一方、個人事業主につきましては、開業届や所得税の青色申告承認申請書の提出から5年が経過していない方も、対象外とされています。
【専門家活用事業 変更点⑤】 加点要件【事業継承・引継ぎ補助金】
加点要件が変更され、新たな項目が追加されています。
まず、事業継続力計画を提出し、その承認を受けている企業は、新たな加点要件に該当します。
また、「健康経営優良法人」の認定を受けた企業、サイバーセキュリティお助け隊への申請を行っている企業、そして賃上げを実施した企業も、新たな加点要件に含まれます。
加点要件を満たすことで、補助金の採択率をより確実にする可能性が高まります。そのため、加点要件に該当する可能性がある項目については、ぜひ積極的に対応し、申請に活かしましょう。
今回は事業承継・引継ぎ補助金についてご紹介させて頂きました。
ぜひ記事を通して変更点の理解を深めていただき、補助金申請に活かしていただければ幸いです。
【サイト参考情報】
参考:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金 経営革新事業 【公 募 要 領】 6 次 公 募 ,6p
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/requirements_business.pdf
「事業承継・引継ぎ補助金」6次公募開始:中小企業庁
https://j-net21.smrj.go.jp/news/hgc8pd000000ng97.html
事業継承・引継ぎ補助金
経営革新事業(5次公募以降)における制度上の変更点・注意点についてVer.2.2
https://jsh.go.jp/r4h/assets/pdf/06/modification_business.pdf
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