経営計画の作成と進捗管理支援、補助金や助成金の申請サポートを通じて経営者の財務のお困りごとを解決するコンサルティング会社、株式会社ティー・エー・リンクです。
弊社は、決算書や毎月の試算表を見るのが苦手な経営者に対して、決算書や試算表の見るべきポイントを分かりやすく解説することを得意としております。
いま起こっている財務・会計上の課題を的確に抽出するとともに、経営者が描く「将来の目標」「未来のありたい姿」から逆算しながら経営計画を一緒に作成するサポートを行っております。
今回は、建設業の【経営事項審査】において経営状況の指標となる【Y評点】を解説します。
会社をより良くしていく為の経営分析の手法をお伝えします。
自社の経営状況を分析し、より良い経営を目指していきましょう。
目次
建設業必見の経営指標
純支払利息比率
負債回転期間
自己資本対固定資産比率
経営状況分析
本コラムは動画でも解説中!ぜひご覧ください。
建設業必見の経営指標
建設業の経営指標・経営分析というと、経営事項審査を思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
経営事項審査とは、建設業の経営者ならご存知の方も多いかと思いますが、公共事業を発注者から直接請け負うために必要とされる審査のことです。
国や都道府県、市区町村から仕事を受注したい場合、この経営事項審査で評点や点数を出しておく必要があります。
その中には経営状況の分析も含まれており、これをY評点と言います。
経営状況によって、経営事項審査の点数が変わってきます。
経営状況の分析は、以下の8つの項目で行われます。
(1)純支払利息比率
(2)負債回転期間
(3)総資本売上総利益率
(4)売上高経常利益率
(5)自己資本対固定資産比率
(6)自己資本比率
(7)営業キャッシュフロー
(8)利益剰余金
これらの8つの項目について、評点が計算されます。
今回は、純支払利息比率、負債回転期間、自己資本対固定資産比率について解説します。
純支払利息比率
まずは純支払利息比率です。
計算公式は以下の通りです。
純支払利息比率(%)=支払利息-受取利息配当金/総売上高×100
この比率は、売上に占める利息の割合を示していますが、点数にも影響します。
点数を向上させるためには、金利負担を抑えるか、売上を増やすかのどちらかを考える必要があります。
しかし、利息のコントロールは難しいものです。
利息は金融機関が設定するため、私たちではコントロールできません。
そのため、売上高を増やすことが唯一の方法です。
営業成績や財務状況を改善し、信用度を高め、金融機関からの評価基準の一つである利息利率を下げることが必要です。
したがって、財務状態、特に売上の改善が純支払利息比率の改善に繋がります。
負債回転期間
負債回転期間は、このように計算されます。
負債回転期間(月)=流動負債+固定負債/総売上高÷12×100
負債回転期間を良くする方法は、負債を減らすか、売上高を増やすかのどちらかです。
負債を減らす際、まず借入金の返済を検討することが多いでしょう。
しかし、借入金を繰り上げ返済すると、運転資金に影響が出る可能性があります。
そのため、無駄に借り入れている場合は、繰り上げ返済することで負債回転期間を良くすることが考えられますが、あまりお勧めではありません。
また、未払金や買掛金が増えないように、在庫を適正に保つことも重要です。
過剰な在庫があると、買掛金や未払金が増える為、今後の支払金額も増えていきます。
既に在庫があるにもかかわらず新たに購入していないかどうかを確認する、在庫の適正管理が必要です。
さらに、役員借入金などがある場合は、適切に処理することで一時的に負債を減らせる可能性があります。
ただし、一時的に負債を減らすことが出来ても現金が減少し、資産が減ることため、考慮して処理する必要があります。
やはり最終的には、売上を伸ばすことが最も重要です。
自己資本対固定資産比率
次に、自己資本対固定資産比率の計算式です。
自己資本対固定資産比率(%)=自己資本/固定資産×100
この比率を見ることで、会社が固定資産を保有しすぎて借入が増えていないか、また自己資本が減っていないかを確認できます。
もちろん、活用されている固定資産であれば問題ありませんが、遊休資産がある場合は、それを売却して借入金を減らすことで、この自己資本対固定資産比率を向上させることができるかもしれません。
そのため、しっかりと確認していただくことが重要です。
これまで触れていない経営指標について、ご紹介させていただきました。
経営状況分析
改めて、8つの項目をご覧ください。
(1)純支払利息比率
(2)負債回転期間
(3)総資本売上総利益率
(4)売上高経常利益率
(5)自己資本対固定資産比率
(6)自己資本比率
(7)営業キャッシュフロー
(8)利益剰余金
赤字の項目が含まれる通り、売上を伸ばして利益を上げることが必要になります。
結局のところ、利益が重要です。
利益を上げなければ、経営状況の分析(Y評点)は向上しません。
ですので、売上を伸ばすことはもちろんのこと、今は売上ではなく粗利(限界利益)が重要です。
粗利(限界利益)をしっかり確保できるかどうかがポイントです。
最近では、原材料の高騰により粗利率が低下している企業も多いと思います。
そのような場合、上がった原材料費を元請けの企業や発注者に説明し、値上げすることができるかどうかをしっかり確認すること必要です。
また、無駄に使っている固定費がないかどうかも重要です。
弊社が財務コンサルで支援しているお客様の中には、実は必要のない経費を計上していて、何のための費用か分からないという方も多いです。
そのため、再度経費を1から見直し、無駄な支出や使われていない経費がないかを確認することが重要です。
今回は、建設業における重要な財務指標についてご紹介しました。
建設業の経営事項審査において経営状況の指標となるY評点・8つの項目を解説しました。
特に利益の確保が経営状況の向上に直結することをご説明しましたが、そのためには粗利の確保や経費の見直しが不可欠です。
是非過去5~10年分の粗利率の推移を振り返り、分析することをお勧めします。
私たちティー・エー・リンクは、経営計画作成から実行、進捗管理までをサポートし、中小企業経営者の財務の悩みを解消します。
またYoutubeチャンネルでは補助金や財務に関する情報を提供していますので、皆様の経営判断のお役に立てればと思います。
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